部族民通信ホームページ   投稿2023é年10月15日  開設元年6月10日
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構造人類学  神話の構造 4 Pueblo族神話とエディプス神話
 
 
人の生まれをまとめたスライド、クリック
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2025424日)レヴィストロース構造人類学 Anthropologie Structurale IX章は神話を主題とする。エディプス神話と北米プエブロ族神話を比較している(別投稿で解説)。それら頁から主題「ヒトの生まれの由来」を構造主義から展開する幾節を採り上げた。
(2023年10月に投稿した記事を全面改訂した)

構造人類学4神話の構造Pueblo族神話とエディプス神話の比較 

レヴィストロース著「構造人類学」神話の構造章の紹介を続けます。Pueblo族神話とエディプス神話(前回投稿)との比較を試みる。

PuebloZuni支族が伝承する神話を、Œdipe神話の解析で展開した4柱分解と同様の方法で作成した図(244頁)。本書にはPueblo神話は引用されていない、ネットからプエブロ族神話を以下アドレスwww.tribesman.net/PuebloMyth.pdf (部族民通信ホームページ、ワードをPDFに変換している)に貼り付けています。Œdipe神話との共通点も読み取れるかと思います。

なぜ古代ギリシャと近世北米先住民の神話を比較するのか。レヴィストロースは(構造主義の論点で)神話を生むのはヒトの思想(表象)だと語ります=前出。ヒトであれば全人類、思想は根底において同根であり、時空を超えて共通する。故に思想、宇宙論の観点から神話の比較を試みる。




Pueblo神話の図(本書244頁)の説明 : 左がデジカメ、右表は部族民作成。右図が見やすい。左端の柱はヒトの出現から破滅を語る。ヒトは大地の底に蠢く惨めな虫けらだった。双子の神(少年)が植物繊維を用いた縄はしごを教えて、地底から脱出させた。大地に居住を始めたヒトの生業は野生植物の採取、そこから栽培植物育成と発展させた。狩猟と野生動物の肉食に進んで、戦争を起こして絶滅した。かく、左端は変化から滅亡(changement et mort)に宇宙の流れが定まる。

右端柱は死(地に満ちた族民に兄妹の水平婚たわけが発生し子が絶滅する)からから始まり久遠(mort et permanence)の世界の移り変わりを表す。こうした因果の有様を左右に配置し、ヒトは生業と社会を変遷させては失敗を繰り返すと教える。最終には安定(permanence)を得る(右端最下点)。結末が全て悲劇のŒdipe神話とは異なる(ようだ)。


左はオイデプス神話の柱、右はプエブロ族

左柱から右への移動の行程を見ると仲介役がヒト(族民)を導く。それらは 1双子の神 2兄妹(近親姦を犯す) 3祭りの道化師(Clown) 4戦の神(二人神)などとなる。エディプス神話にも仲介は働く(スフィンクスなど)。

Œdipe神話とPueblo神話の類似を探ると ; 

1 対立する世界(結界)

2 人の大地生まれ、生まれ出た者たちの脚の不自由さ(本書ではboiteux「びっこ」は一度だけ用いて、difficulté à marcher droit真っ直ぐ歩けないに言い換えている)。Pueblo神話では手足の指の間に膜がある、不恰好な生物で、直立できず這って歩いていたなどとも記載される。大地から脱出できなかった者が地底の怪物になった(落伍者たちは、人間になれずに怪物になり=同サイトから引用)Œdipe神話でのスパルトイ、スフィンクスなどと対比できよう。

3 中間線をふらつくヒト(英雄あるいは民族)、Pueblo神話では俗神が対立する極に誘い出し、結局人は滅亡する

一方で異なりは ;

1 2極対立と4極の対峙。Puebloでは左右2柱の対極、そして柱の上下軸にも対極性がある。

2 仲介役の演出に違い。Œdipeでの仲介役はスフィンクスなど人物(擬人)が筋立てに参加している。明確な性格 « trait » を帯びる。Puebloでは仲介役は族民を引き回す「機能」でしかない。

3 Puebloでは宇宙を彷徨するのは族民(集団)、 Œdipeでは個人(英雄)。Pueblo族民は仲介役に引き回されるがŒdipe (カドモスとエディプス) は機転と勇敢で苦難を乗り越える。

 « Œdipe » 神話は個(英雄)が活動する。登場する人物素材 « propriétés » は個性有し目的を持って行動する。冒険をかいくぐるも結果は悲劇、責を追うのは個である。北米神話は族民が全体として行動する。


プエブロ族神話の要素を換骨奪胎してエディプス風、対立は豊穣と近親姦の世界と土中の冷暗、に組み直した表を挙げました。上図、左表を右表に書き直した。



柱から柱に移動して、また元に戻る。

プエブロ神話とエディプス神話の比較 了

 (2025年424日)

  

 

 



















本書244ページ。4本の柱、左右(赤の
楕円)は対立する結界。プエブロ族は
左で生まれて(地底から這い上がり)
兄妹姦淫を犯し
トリックスターの手引で右に移る。
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プエブロ族の夫婦、
撮影年代不明
ネットから
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