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M428 星(太陽と月) の妻(第5)Arapaho族(176~179頁)
父母とのテント生活。月と太陽は兄弟、規則を特に設けぬまま、狩りにあちこち出没していた(日夜の交代の規則が決まってないとの暗喩)。ある夜、二人揃って「そろそろ独立したいな、妻をもらおう」このあと地上の娘の評定に進んで太陽がカエル、月は人の娘を候補と選ぶ言い回しは同じ。
月が臨んだArapaho村落の情景 ;
月が地上に降りる。川を西に沿い上流に向かう(今のネブラスカ州、ミズーリ支流のニオブララ川は西から東に流れる、ベーシック世界地図から)。程なくして見つけた村、« L’air
était embaumé, la vue magnifique. Les oiseaux chantaient ainsi que les reptiles
et les insectes » (177頁) 村にながれるそよ風の芳しさ、広がる景色の美しさ。思わず月は見とれた。鳥は歌い、カエルもコオロギも唱和した。(reptilesとはトカゲ蛇のたぐいだが、歌う蛇など思いつかないから(amphibien両生類ながら)カエルとした。insectesは昆虫、すると歌うはセミかコオロギ、豊かな秋口らしきからスズムシを取ろう。
(なおこの状景をしてレヴィストロースは悲しき熱帯で用いたBon
Sauvage=良き野蛮=の例証としている。Ce tableau embelli de la vie indigène
montre que l’idée du BON SAUVAGE n’était pas étrangère aux sauvages ! (181頁)先住民の生活に美しく彩られた「一幅の絵」を見るだけで、良き野蛮の言い回しは形容矛盾(oxymore)であるとはいえない。10年前の出版「悲しき熱帯」の章題名 « Bon
Sauvage » がありえない表現として否定された。「どうだ形容矛盾などと片付けられないぞ」語気の荒さが聞こえる文、珍しい直接表現、意趣返しです)
« Lune
admirait cette scène idyllique quand il vit deux jeunes filles qui suivaient la
berge en ramassant du bois mort. Vite change en porc-epic, il se fit remarquer
de l’une d’elles » (同)
訳;月は牧歌的状景に息を呑むも、すぐにある娘に目をとめた。二人連れの一人、枯れ枝集めに川縁を歩いていた。あまりも美しい、見つめる間もなくヤマアラシに変身した。目をつけた娘がヤマアラシを見留めた。
« Ses
piquants son longs, blancs, superbes. Il
me les faut! Justement ma mère en manque… »あのトゲ毛を見て、白くて長い、ステキ!あのすべてが欲しいわ、母さんに分けてやれる。
(3の神話はいずれも母にトゲ毛を贈ってあげたいと娘の動機を語る。母親は将来の婿の晴れ着衣装をヤマアラシのトゲ毛で飾りたい。ゆえに娘はpubère妙齢、婚姻可能を暗示している)
ヤマアラシを追い木に登り、天に至った。すると目の前に、ヤマアラシならぬ若者の輝く姿が出現、驚くも誘いにうなずく。この先は前々回に引用した神話(M426,M427)と同様の展開、太陽がカエルをつれて戻り、どっちが「心地よい噛み音」を立てるかの食べ競べ、人間の娘が勝つ。
天空は人間娘を嫁に向かえると決めた。M428の後段には文化・社会創造が人に伝わる因縁が挿入される。
その1人間社会の周期性の起源。
« A cette époque remonte l’organisation de la vie humaine ; les
objets d’usage récurrent leur nom et leur fonction, ainsi que les substances
alimentaires. Les hommes et les femmes apprirent à connaitre leurs besoins et
leurs règles de conduite » (177頁)
訳;人間社会の仕組みはこの時期に形成された。食物と共に日常で使用する道具の名前、使い道が定まり。生活を営むための義務、行動の規則を男も女も学び、モノにした。
その2身体規則性の確認文化
« Venez
vite ! cria la femme humaine en haletant. La belle-mère accourut, tata son
corps, en fut stupéfaite de découvrir entre ses jambes un bébé bien constitué
qui remuait » (178頁)
訳;「すぐに来て」若妻が叫んだ。義母はかけより体をさするとなんと股の間から赤ちゃんが出てきた、これには本人が驚いた。五体満足、おぎゃと泣いて手足を動かした。
Constituéは「体格の良い」が意義であるが、人として初めての分娩なので(赤ちゃんカエルがでてきたら大変)心配があった。頭、四肢、手足が人らしくそろった。人が人を再生産した、分娩起源の説話です。
めでたしで終わらなかった。お説教が続いた;
Le vieillard (老人、義父、家父長)が出てきて曰う。 « Tout cela
est bel et bon, dit le vieillard, mais je n’aime pas ces accouchements brutaux
qui n’ont rien de civilisés. Dix lunaisons doivent s’ecouler entre la
conception et l’accouchement… » これからすべてが願い通り(beau=bel)で上手くいく。だけど今回の分娩騒動は乱雑だった。少しも文明化していなかった。懐妊と分娩の間は月の巡りの10重なりとしっかり心して…>
老人だから小言だってしつこい「人間の女なら今月はさわりが訪れなかったを知るし、原因にも思い当たる。そこいらのブタや猿とは違うのじゃ。その事態になったら十分の余裕を持ち、前もって母と夫に告げるのじゃ。胎児は経血で育つと知れ、女の血が股から流れ落ちず10回が腹に溜まったら子が生まれるのじゃ」(179頁)
この逸話と小言が人と獣のあるべき差を諭している。かくして人はカエルや猿、豚との差を誇れるまでになった。カエルや地虫との婚姻同盟にのめり込む粗忽者(モンマネキ)はもはや出現しないだろう。
嫁取りの成功と妊娠の期間は10月(トツキ)で分娩など女に周期性が生まれた。これで文化が一通りまとまった。
星astresの二人は分かれ、異なる軌道での天上回周を始める。同時期に同場所を二人が占める、「夜だけ」あるいは「昼のみ」の不均等が消え、日夜周期が確立された。一方、太陽はカエル妻で失敗、残虐と平穏の季節周期が発生した。
北米先住民は太陽を人食い「cannibale」と表現する。プレーンズ、乾燥と熱が猖獗する荒々しい夏を指すのかと思う。嫁取り失敗の怒り、人への報復である。もともとは不用意女の「しかめ面」が原因だから、我々は祈らねばならぬ。悔い改めを見せて、なだめて太陽との交流を計ろう。「太陽の祭り、サンダンス」はこれを祈願する祭りである。
第2部冒頭のArapaho「月の嫁神話」は、本書後半の基準神話となる。前回投稿の本書「食事作法の起源」前半部の基準神話は「モンマネキの嫁取り失敗譚」である。両者は関連が認められる。
食事作法の起源L’origine des manières de table5 月の嫁 北アメリカ神話 了
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