| 部族民通信ホームページ 投稿2023é年10月15日 開設元年6月10日 |
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| 悲しき熱帯(レヴィ・ストロース著)の真実2 下 部族民の生死観2 | |||||||||
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ジャガー狩りの段落を紹介する。 « Quand un indigène meurt, le village organise une chasse collective, confié à la moitie alterne de celle du défunt : expédition contre la nature qui a pour objet d’abattre un gros gibier, de préférence un jaguar... » 訳:人が死ぬと村人は集団での狩りを組織する。死者の属する対抗部の成人が参加する。ねらう獲物は大型の動物、誰もがジャガーを期待する。 平素はジャガーを含む大型獣(バク)の狩りは禁じられている。自然への侵襲が深いと見なされるから。しかし死者の霊(意識のない)を自然に返した債権をボロロ族は手にする。ジャガーを狩る口実が整った。さあ、狩りに出るぞ。 ジャガーは容易に射止められる獣ではない。手ぶらbredouilleでこっそり帰るボウズも多いとか。 レヴィストロース一行がボロロ族村落に到着してまもなく死者が出た、葬儀模様はこれまでに記述した。喪明けに自然への債権取り立てのジャガー狩りが組まれた。しかしながらジャガーは仕留められなかった。レヴィストロースに残念が滲む。狩りの失敗ではなく到着がもう2~3日早かったら; « Je soupçonne même que notre irara a été prestement appropriée pour remplacer le gibier manquant. On n’a jamais consenti à me le dire, c'est dommage. Si tel était vraiment le cas, j'aurais pu revendiquer la qualité de iaddo, chef de chasse représentant l'âme du défunt de sa famille, j'aurais reçu le bazar, brassard de chevaux humain » 族民らが我(レヴィストロース)のirara(=vertus、善行)に気づいたのだ、狩り取れなかった猛獣だって仕留められたはずだとね。葬祭狩り隊長に任命してくれていれば良かったのだが、彼らはそんな申し出を持ってこなかった。やむを得ない。もしやそうなっていたら、隊長の私(レヴィストロース)がせしめられたのは;Le brassard de cheveux humaines (髪でできた腕輪) から始まって ; Clarinette mystique formée d’une petite calebasse、anche de bambou(奇怪な音を出す竹リード付き小さなひょうたんの楽器、獲物の皮剥に際して演奏する) Collier de disques en coquillages(貝の首飾り) これまでがレヴィストロース隊長が持てるはずだった道具。(せしめてmusée de l’hommeに寄贈するつもりだったろう)
Le cuir(毛皮、もっとも重要) Les dents(歯) Les ongles(爪、上の3点と合わせレヴィストロースが遺族と山分けできた。272頁) (ジャガー狩りの形態と目的が理解できる、しかしどう考えてもボロロ族がレヴィストロースを隊長に任命する道理がない。レヴィストロースの洒脱さが表れている文として挙げた。) 写真はボロロの葬式儀礼、男のみで追悼する。呪術師Bariが葉を全身にかぶって死霊を装う。腰蓑を着用する縁者(左)。著作より。 (ボロロ族の霊の帰来についてcrédulité信じやすさの理論をレヴィストロースは展開している。別稿にした) 以上がボロロ族の信仰する人と霊魂の関係、死とは肉体の死、霊魂の離脱、霊魂は遠い東、西に向かう。死者が出るたびに全身を葉っぱぐるみで帰来する。これが第2の形体です。 死者と生者に戻る : 1 西欧文明では死者と生者の関係が「死者は意識がない、生者の利得に使え」から 「死者は懇ろに弔え、あとは忘れろ」に変遷した。 2 ボロロ族は前記の1,2を「信仰と儀礼で2の姿勢を明らかにする。一の機構を立ち上げもう一方の姿勢に違和感もなく移動する」 2を解析する。ボロロ族が信仰する「人と霊の組み合わせ」では死んだ後もその霊は意識を持つ。篤く葬儀を営み霊廟に送り出すーこれを実行している。 一方で人が死ぬともう一つの霊が自然に戻りコンゴウインコに取り憑く。こちらの霊に意識はないから生者の利得に使える。自然に貸しを作ると主張して、自然から大型獣を狩猟する。名目が立つから自然は黙認する(はずだ)。 レヴィストロースの指摘する2面性とは2種の霊を信じる信仰から必然として派生する。 部族民(蕃神)はここでボロロ族の二重性と日本人の信心を比較したい。日本人は仏教渡来、神道成立以前に、太古のどの民族でも云えるが、アニミズム信仰を持っていた。万物に霊が宿る信心とすると、当然人の生身にも霊魂は宿る。身体が活動停止すると霊魂はどこに行く。「あの世」に往生する。この霊魂は意識を持つ。なぜなら望まない死を迎えた霊魂はこの世に居残る。多くが悪さを繰り返す。 意識を持つ死者を後の阿弥陀信仰が否定した。人が死んだら仏になって極楽往生する。仏とは悟り、悟りとは無我。この死者は意識がありません。
レヴィストロースがマトグロッソに現地調査したのは1935年。ルモンドが2008年に、マトグロッソの乱開発が進んでいる状況にコメントを求めた。100歳を迎えようとするレヴィストロースは「調査した当時の世界の人口は16億人、現在は64億人、私はすでに過去の人間だ。コメントを発する資格はない」と語ったと伝わる。2009年死去。
レヴィストロースここに眠る(Lignerolles France) 悲しき熱帯(レヴィ・ストロース著)の真実2 下 部族民の生死観2 の了 |
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